11月29日に、南アフリカの2023年の金融安定性レビュー第2版が出ていました。
レビューの内容の要約と、そこから南アフリカランドがどのように動いていくのかを考えます。
2023年の南アフリカの金融安定性
まずはレポートの内容から見ていきましょう。以下がレポートの要約です。
今年の世界経済は、緩やかなヘッドラインインフレーションと控えめな経済成長が続く中、ユーロ圏の不振や北アメリカの成長減速が顕著です。中国も成長が鈍く、途上国では資金調達が困難で成長が緩やかです。南アフリカでは電力供給不足が続く中、成長は抑制されていますが、中期的には電力供給の改善が見込まれ、2024年以降の成長が期待されます。一方で、港湾や鉄道の運営が制約となっています。
南アフリカのGDP成長予測は、2023年が0.8%に上方修正され、2024年と2025年もそれぞれ1.2%と1.3%に引き上げられました。ただし、経済成長はロードシェッディングやエネルギー供給に依存し、市場の不確実性が影響を与えています。インフレは緩やかに増加しており、原油価格や外部融資ニーズにも影響を受けています。通貨の変動も懸念事項であり、ランドはドルに対して9.5%減少しました。
燃料価格や食品価格のインフレ率には変動がありますが、コアインフレは改善しています。ただし、将来の成長見通しは依然として不確実で、需要が供給を上回る状況が続く中、リスクはバランスが取れています。総じて、南アフリカ経済は課題に直面していますが、一定の回復力が見られます。
レポートはこちら(Second Edition 2023 Financial Stability Review)からご覧になれます。
南アフリカランドの今後の動き
レポートで示されていたとおり、今後の南アフリカの経済は右肩上がりというわけには行かなさそうです。
GDP成長率の予測は引き上げられているものの、インフレや電力供給の面では不安が残るといったところでしょう。
南アフリカランドは2023年11月は7~8円付近を推移していますが、今後インフレの沈静化やエネルギーの安定供給がなされるようになれば、通貨価値が上がってくるかもしれません。
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